白色申告のやり方、流れを解説

白色申告のやり方、流れを解説

 フリーランスで仕事をはじめると、開業届を提出し、翌年から事業所得につき確定申告をしなければなりません。個人の行う確定申告の方法には、青色申告と白色申告というものがあります。白色申告は簡単な形式の帳簿の作成で済むというメリットがある半面、節税に関しては、恩恵が少ないというデメリットがあります。ここでは、最近個人でフリーランスになった方向けに、白色申告について、その流れを開設していきます。

 

白色申告の必要書類

白色申告を行う際には、どんな書類を用意しなければならないのでしょうか?まず必要なのは確定申告書です。所得税を申告するためのもので、確定申告書Bというものを使用します。もう一つ必要なのが収支内訳書です。青色申告の場合は決算書が必要ですが、白色申告の場合は、記載が簡単な収支内訳書で大丈夫です。

 

白色申告の流れ

白色申告は以下のように大きく3つのステップに分かれています。

1. 記帳作業

2. 決算作業

3. 確定申告書と収支内訳書の作成

では、このステップを説明します。

 

■記帳作業

記帳作業とは、フリーランスの仕事の収支に関する家計簿のようなもので、確定申告をする前年の1月1日~12月31日までの取引内容(日々の収支・日付・収支の適用・収支別金額・差引残高等)を記帳することです。

 

従来は青色申告のような決算書を作成できるような記帳は不要でしたが、白色申告でも2014年(平成26年)1月より取引金額に関わらずすべての事業者に記帳が義務付けられました。それでも取引が多くなければ会計ソフトに頼らずエクセルなどを使用した記帳(法定/任意帳簿の作成まで)でもできないことはないでしょう。ただし、取引が増えれば会計ソフトを利用して特典の多い青色申告も検討しましょう。

 

記帳はどんな頻度で行ったらよいか、最初のうちは戸惑うかもしれません。例えば、日々売上があるような場合は、毎日若しくは週一回は記帳をしたほうが良いでしょう。一方で、月の売上が数回といった場合には、月一回の記帳でも良いと考えられます。

 

■決算作業

決算作業とは、一年に一度、年末に行う作業のことです。フリーランスで働く際に、パソコンを購入したり、販売する商品を仕入れた後、その商品が在庫として年末に残ったりすることがあります。決算作業とは、こういったビジネスを行うために購入した機材や商品について、12月31日現在の価値を定める作業になります。

 

決算作業には、大きく分けて、次の2つが挙げられます。

・減価償却費の計算

・棚卸表の作成

 

減価償却とは、減価償却資産を取得する際の金額を一定方法によって各年分の必要経費として配分していく手続きです。例えばビジネスのために用いられる機械装置(パソコンなど)、器具備品(机や椅子などの備品)、自動車などの資産は、時間の経過によって価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費とするのではなく、資産の使用可能期間(年)で割って、その年分の必要経費としなければなりません。この使用可能期間を法定耐用年数と呼び、資産の種類によって法定耐用年数が定められています。詳しくは国税庁のホームページを参照してみてください。

 

商品などを仕入れた時に、決算期間内に販売できれば良いのですが、12月31日に在庫にして残ってしますこともあります。棚卸表の作成とは、このように年末に残っている商品や消耗品につき、その在庫数を勘定するとともに、適正な価格で評価する作業のことです。

 

確定申告書と収支内訳書の作成

フリーランスで働くようになると、翌年の2月15日から3月15日の間に、確定申告をしなければなりません。その際に提出しなければならないのが、確定申告書と収支内訳書になります。確定申告書も収支内訳書も、国税庁の確定申告書等作成コーナーで入手、作成できます。

 

まずは収支内訳書から作成していきましょう。記帳作業と決算作業で作成した帳簿を用いて、売上や経費、減価償却資産などを記入していきます。内訳ごとに合計した金額を収支内訳書としてまとめることによって、課税される所得金額の根拠を明らかにするだけでなく、事業内容全体を大きくとらえることができます。

 

次に確定申告書を作成します。フリーランスとして事業所得のある方は、確定申告書Bを使用します。確定申告書等作成コーナーで作成していれば、収支内訳書を記入することで、事業の収入、事業所得などは確定申告書に反映されます。所得の欄がOKであれば、次に控除の欄を記入していきます。控除には、所得の金額を減らす所得控除と税金の額を減らす税額控除の2つに分かれます。また所得控除は配偶者や扶養家族といった人に関する人的控除と生命保険や医療費といった物的控除に分かれています。税額控除は住宅ローン減税などがこれに当たります。

 

また所得税が源泉徴収される収入のあった方は、源泉徴収された税金は、既に納めたものとして税額から控除できますので、忘れないようにしてください。

 

申告漏れに注意

フリーランスとして仕事をはじめると、当初は収入が少ないので、申告はしなくても良いのではと思う方もいると思いますが、収入が少ない場合でも雑所得としての申告は必要となります。フリーランスとして仕事をするのであれば、まずは事業開始届を提出しましょう。事業開始届を提出すれば、事業所得が赤字でも他の所得が黒字であれば、その黒字から差し引ける損益通算を使うことができます。

 

また近年はマイナンバーを提出することで、個々人の所得が把握されやすくなっています。またフリーランスの仕事では、報酬の支払先が税務署に支払調書を提出することもあると思いますので、申告漏れとならないように注意してください。

 

まとめ

白色申告のやり方についてのまとめです。

白色申告は以下の3つのステップで行います。

1. 記帳作業 

売上や経費の計上を行うもので、取引の頻度により毎日、毎月などを決めて、記録していきます。

2. 決算作業

年末に行うもので、減価償却資産や棚卸資産の評価を行います。

3. 確定申告書、収支内訳書の作成

記帳作業、決算作業で作った帳簿を基に、収支内訳書を作成し、確定申告書に反映させます。

 

白色申告は青色申告に比べて簡便といわれていますが、それなりの手間はかかるものです。収入が増えてきたり、会計ソフトを導入したりする場合には、青色申告への転換も考えてはいかがでしょうか。

 

参考

国税庁ホームページ 原価償却のあらまし

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

 

国税庁 確定申告書等作成コーナー

https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl

 

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